本年10月4日から兵庫県の地域別最低賃金は時間給1,116円に改定されました(64円アップで6%アップ)。当事務所のスタッフはクライアントに一斉に電話連絡して、最低賃金をクリアしているか確認をしています。
この増加額は過去最大で、全ての都道府県の最低賃金が1000円を超えることになります。今年度、政府は最低賃金を2020年代に全国平均で1500円とする目標を掲げました。目標の達成には毎年8%アップする必要があり、26年度1,205円、27年1,301円、28年度1,405円、29年度1,517円となります。
ちなみに先進国の最低時間給(2024年11月現在)は、アメリカ1,121円、カナダ1,725円、フランス1,851円、ドイツ1,971円、オランダ1,929円、オーストラリア2,138円、ニュージーランド2,043円です。
世界的な水準から比較すると、我が国はまだまだ最低時間給は低いです。しかし政府が主張する最低賃金1,500円になると、事業継続が難しくなり廃業や休業などを選択する企業が増加する可能性があります。東京商工リサーチの調査によると、実際に人件費高騰による倒産件数は増えているそうです。
またパート・アルバイトの中には、扶養範囲内で働くことを希望している人もいます。例えば年収100万円未満になるよう就業調整している場合、時給1,000円なら働けるのは月83時間までです。一方、時給1,500円で働けるのは月55時間ほどと計算できます。パート・アルバイト1人あたりの勤務時間が減れば、不足分を補うために新たな人材の採用が必要となります。業種を問わず人手不足が進んでいる現状では、人手不足の進行により事業の継続が難しくなるケースもあるでしょう。
今後経営者はコスト値上分の価格を売上価格に転嫁して請求していく必要があります。商品価格やサービス価格を上げれば、得意先や消費者から逃げられる可能性もありますが、しっかり値上げをして、正しい企業努力をして、企業価値を高めていくことをしなければならないと思います。

