「社員にもっと当事者意識を持って働いてもらいたい」「会社に依存するのではなく、自分で稼ぐ主体性をもってほしい」そう望む社長が、会社の経営方針やお金の流れをオープンにして、経営する動きがあります。今回は経営をオープンにする2つのデメリットを説明したいと思います。
- 経営者はより厳しい自己管理が問われる
情報公開するオープン経営をする際に、経営者にとってのデメリットには次の2つがあります。経営者にはよくあることですが、社長が言っていることとやっていることが一致していないと、「社長は口ばっかりだ」と社員の批判の的となります。したがって、ごまかしが利かなくなり、経営者はより厳しい自己管理が求められるようになります。
また、隠し事はできなくなるので、経営者だけが儲けをひとりじめすることは困難になります。その一方で見方を変えると、従業員にオープンにするぐらいの覚悟をするのであれば、経営者の覚悟は十分なものになっています。経営がオープンになり、経営者の言動が従業員に見られていることを自覚しているので、経営者は「決断の先送り」「有言不実行」ではいられなくなります。結局、経営者は自分に甘い人であっても、従業員の見ている手前、しっかりせざるを得なくなります。社員10人以下の会社では、実際のところ、経営者が腹を決めて本気になって経営にあたったら、確実に業績は良くなります。
- 従業員の入れ替わりが起こりうる
会社の方向性と合わない従業員が、突然辞表を提出することが起こりうります。長期的にはお互いにとって良いことだと思いますが、短期的には人手不足で残った従業員が大変な思いをすることがありえます。それと同時に、会社のビジョンが言葉と数字ではっきりすることで、やる気のない従業員はいなくなります。
前回はメリット、今回はデメリットを記載しましたが、従業員に経営をオープンにするのが良いか、悪いかは、経営者自身の考え方だと思います。経営をクローズにしていても業績を伸ばして、経営者の思い通りに事業をしている会社もたくさんあります。ただ、組織力を活かして将来的に会社を発展させていこうと考えているのなら、従業員には経営をオープンにするのが良いと思います。